2015年9月9日水曜日

一期一会

ちょっと前の話。

その日は夜市川でソロだったので昼間家事を一通り終えると
ビールを飲みながら映画を観て過ごしていた。
2本目を観ているとそれがつまらなかったわけではないけど、
何度か見たやつだったからか眠くてしょうがない。
このまま寝てしまったら最悪の気分で家を出ることになるのがわかっていたので
ちょっと早いけど小岩に寄って軽く飲んで行こうと思い立つ。

ということで聖地「くら」へ。
まさしくメッカ。めちゃくちゃ混んでる。

なんで??

後日友人に聞いたのだがどうやらなにかテレビに出たらしい。
おれテレビでくら見ても行きたいと思わないけどなー。

なんとか詰めてもらい一席を確保したのだが
相席のお二人は既に結構出来上がっている御様子。

ああ、なんかイヤな予感…

まあとりあえずチューハイ下さい。
するとさっそく斜向かいのお兄さん(40代)が背負ってきたギターを指差し
「ギブソン?フェンダー?」
「いやアコギです。」
「アコギにもギブソンとフェンダーあるよ。」
…ちょっとイラっ…
すると隣のおじさん(50代)。
「どこでやってたの?オルフェウス?」
「これから市川でライブです」
(爆笑)
「やる前に飲みくるの?」
「やる前には必ず飲みます」
(爆笑)
あえて言う必要はないと思うけど
この爆笑はおれが特段面白いことを言っているのではなく、
この隣のおじさんがかなりの笑い上戸なだけ。
しかも笑い方が超豪快。
しばらく自己紹介とかどんなの歌ってるのかを爆笑に包まれながら話しているうちに
ひとりでしっぽり呑むのを諦めた。
だってもうこの段階で食べ物シェアしてたからね。

乗るしかない。
このビッグウェーブに。

二人がどういう関係かは忘れちゃったけど
その日は草野球帰りだったらしい。
そしてくらの常連。
いろいろ話していくうちにどうやら二人とも結構音楽好きなことがわかり、
お兄さんなんかは1番好きなのがゲイリームーアだっていうのに今度はおれが爆笑。
2番目がホワイトスネイクだというのに更に爆笑。
ゲイリームーアは顔以外は最高だとか
デイヴィッドカバーデイルなんて口にしたの20年ぶりだとか話していると、

「ところで西ちゃん何歳?」
(・・・いつのまにかニックネーム西ちゃんに決定)
「35す」
(爆笑)
「45くらいかと思ったよ」
「馴れっこす」
(爆笑)
「いやいや、なんか落ち着いてるからさ〜」
傷ついてないのに慰められる。

その後も中国人キャバクラについて色々教えてもらったお礼に
南口に出没する韓国マッサージの実態を教えたり
大いに下ネタで盛り上がっていたが
そろそろ行かねばならぬ時間に。

「じゃあ行こうか、西ちゃん」
「え??…キャバクラすか??」
(爆笑)
「違うよ。ライブだよ。」
なんと中国キャバクラの予定をキャンセルして市川まで来ると言う。
「いやいやいや、そんな見せるようなもんじゃないすよ!」
「いや、西ちゃんがどんなのやってるかすげー気になるし。」
「いやいやいや、絶対キャバクラのが楽しいすよ!」
バリエーションを微妙に変えながらしばらくこのやり取りを繰り返す。

そして諦める。

諦めたものの、3人で総武線に乗ってるときは
さすがに何コレ感が半端じゃなかった。

店に着いてマイスターに二人を紹介。
というか飲み屋で知り合ったとしか説明できないんだけど。

なんというかいわゆるコミュニケーション能力っていうものに優れた人がいるもので
二人ともすぐに店に溶け込んでライブが始まってからもいい感じに合いの手を入れたり、
楽しんでくれたようでひとまずホッとした。
酒飲んで音楽聴くと豹変して暴れる人とか結構いるもんね。

ぼくの歌も絶賛とまではいかなかったけどまあ気にいってくれてひと安心。
ただMCで、
「何度も断ったんだけど…(付いてきた)」
というのを繰り返してたらおじさんちょっとムッとしていた気はする。

別れ際にお兄さんと連絡先を交換した気がするが
その痕跡が一切ない。

夢だったのだろうか。